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もでてくるであろう。こうした市民セクター活動を通じて、市民が間接的に関与している困難、将来の不安にたいして、行政がまったく手を施さないわけにはいかないのである。
そこで最後に市民セクターと行政との連携、行政の役割について整理してみたい。

 

4. 市民セクターと行政との連携

 

第3節の調査結果で浮かぴあがってきた市民セクターと行政との関係像について、以下の項目について簡潔に整理する。

 

(1) 行政の支援の基準
市民セクターにたいする行政の支援には、行政側からすれば、各自治体レベルで異なるであろうが、一応の基準、規定が作成されていると考えられる。しかし市民セクター側からすれば、そうした基準は不明解でわかりにくいと捉えられているのが現状である。それが行政の情報開示の欠如によるものなのか、行政と市民セクターとのあいだの基本的スタンスの相違によるものなのかは、この調査研究からは示唆できない。
しかし第3節でも述べたように、活動の公共性・公益性が測定しにくいというのは、事実であって、市民セクターの事業特性を十分に理解した、カテゴリー別の公共性・公益性測定に基づく支援基準体系を構築し、支援の適額、適時性、適当性等、明確に公表、公示していく必要があろう。
本来市民セクターとは、ストックをもたない(利潤蓄積を許されない)組織であるため、組織内外部の環境の変化にともなうリスクに十分に対応できない場合がある。通常の市民セクター活動にたいする支援に加えて、活動にともなう事故、被害等の危機管理にかかわる諸支援を行政側は整備していく必要があろう。まさに行政からの支援を欲す時とは、そうした非常時であり、その際手をさしのべるのが行政の役割の一つであることには間違いない。

 

(2) 長期的行政支援の欠如
市民セクターの行政への要望として強かったのが、長期的視野にたった支援である。現在の行政からの支援は、イベント型のスポット的支援が中心であり、市民セクター側いわく、長期的活動に対する行政の支援はほとんどみられない。「日々の学生の体験が本当の

 

 

 

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